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SIBOの診断:呼気試験

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SIBO
とは、小腸内の細菌が増加している状態で、十二指腸の水平部から空腸にかけての腸内細菌数が103CFU/mL以上と定義するのがゴールドスタンダードです。しかし、内視鏡検査を行い、腸液を吸引して培養するのは、侵襲的でコストも手間もかります。そこで、現在一般的に利用されているのが、呼気試験です。

炭水化物は腸内細菌によって発酵されて、水素ガスメタンガスを発生します。ノースアメリカン・コンセンシャスでは、ラクツロース10g(またはブドウ糖75g)をコップ1杯の水で摂取し、15分ごとに呼気中の水素濃度とメタン濃度を測定し、下記のいずれかの条件を満たした場合にSIBOと診断します。


①  90分以内に、呼気中水素濃度が摂取前に比べて20ppm以上昇した場合
② 検査中いずれかの時点で、呼気中メタン濃度10ppm以上に上昇した場合


90分以内というのは、ラクツロース(またはブドウ糖)が小腸に到達し、小腸内細菌によって発酵されて水素ガスが発生するのが大体90分以内だからです。90分以上経つと、呼気中には大腸内の細菌によって生成された水素ガスの割合が増えてきます。

当院が利用しているアメリカの検査会社では、20分ごとに呼気ガスを測定し、120分以内の呼気中水素濃度の上昇をSIBOと診断しています。時間を広げると、感度は高まりますが(SIBOを見落とす確率は減りますが)、特異度は低下します(SIBOでない人をSIBOと診断する確率が高まります)。呼気試験の感度や特異度は報告によってかなりのばらつきがあり、絶対的なものではありません。

なお、メタン産生菌は、厳密に言うと細菌ではなく古細菌に属するため、SIBO(小腸内細菌増殖症)とは言えないのですが、同じように小腸でガスを発生する病態ですので、臨床的にはSIBOとしてとらえられることが多いようです。

文献

1. Rezaie Ali, et al. Hydrogen and Methane-Based Breath Testing in Gastrointestinal Disorders: The North American Consensus. Am J Gastroenterol. 2017 May;112(5):775-784.

2. Kh Roshini, et al. A systematic review of diagnostic tests for small intestinal bacterial overgrowth. Dig Dis Sci. 2008 Jun;53(6):1443-54.

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